undefined 演劇ユニットアニーズ稽古日誌  呑兵衛の呟き

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呑兵衛の呟き


私はお酒が大好きだ。私の周りにも酒好きの人間が沢山いる。そこで考えた。

「人はなんでこんなに酒を呑むのだろう?」

勿論お酒そのもの味やそれに合わせて美味しい食事を楽しむと云うのもある。


しかし、それだけではない。


思うに酒を呑むのは、酒を呑む時間を買っているのではないか?

三島由紀夫の戯曲「弱法師」の中に



「煙草を吸っている間は煙の為の時間だからね」



と云う台詞が出てくるのだが、お酒も同じ事なのではないだろうか。



即ち「お酒を呑んででいる間は酔うための時間」なのだ。

子供の頃はお酒など呑まなくても楽しい時間は幾らでもあった。

一日はもっと長く、一つの事に時間も忘れて夢中になっていた。

それはとても贅沢で貴重な時間だったような気がする。



大人になるにつれ、1日が1週間が1ヶ月が1年があっという間に過ぎて行く。

まるで何かに急かされる様に時間が過ぎて行き、日常に追われる毎日。

自分の為だけのゆとりある時間を持つのはとても難しい。

だからお金を払ってその「時間」を買うのだ。

この「時間」の買い方は人それぞれ。



趣味に費やす時間だったり、美味しい食事を頂く時間だったり。

何れにせよ子供の頃には有り余っていたはずの「時間」をお金を出して買う。

嫌な言い方だが、大人になるにつれて生活が経済に支配されて行く。

なんだか悲しい気がしなくもない。



だがそんな現実の憂さ辛さはしかし、酒をのんでばかりいても実は解消されない。

一時忘れる事は出来ても、朝目覚めればまた確実に現実の生活が待っている。

その上酒を呑み過ぎると体調も人格も壊れかねない。

だとすれば嬉しい事があった時、或いは頑張った自分へのご褒美としてお酒を呑む。

これが一番正しく健全な飲み方なのだろう。



逆説的に言えば、生活を充実させて嬉しい事は自ら招く。

大人になる事が経済に支配される事なら、それを逆手に取って

自らの時間を充実させる知恵を付ける。



「酒は呑んでも呑まれるな」



つまりはどんだけ主体的に自分の時間を楽しみ、

自分自身の価値を絶えず客観的に見つめられるか。

酒の飲み方も先週書いた「人付き合い」同様「腹六分」位がちょうどいい。

今日の余韻を楽しみ、明日への活力を残す。

そんな大人のたしなみとしてお酒を頂く。これが理想だ。

自戒も込めて。


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